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英語の「音のつながり(リンキング)」がわかると英語が聞き取れる【リダクション・フラッピング・エリジョン解説】

「単語は知っているのに、ネイティブが話すと全然聞き取れない」——このような経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。実は、その原因の多くは単語を個別に知っているかどうかより、音が繋がったときに何が起こるかを知らないことにあります。

ネイティブスピーカーは、単語を一つひとつ区切って発音しません。隣り合う単語の音が自然につながり、弱まり、変化します。このまとまった音の変化現象を「連結音声(Connected Speech)」と呼び、リンキング・リダクション・フラッピング・エリジョンの4つが代表的な現象です。

英語が聞き取れない本当の原因(音のつながりとは)

英語学習者がリスニングで最も苦労するのは、「テキストで見た英語」と「実際に耳で聞こえる英語」がまったく別物に感じられることです。

たとえば "I want to eat an apple." を辞書で発音どおりに読むと、各単語がはっきり分かれて聞こえます。しかしネイティブが会話で話すと、「アイ ワナ イーダン ナポー」のように変化します。各単語の音が周囲と混ざり合い、省略され、新しい音に変化するためです。

これがConnected Speech(連結音声)の仕組みです。この現象を知らずにリスニング練習をしていると、「知っている単語なのになぜ聞き取れないのか」という状態が続いてしまいます。

リンキング(Linking):単語と単語が繋がる現象

リンキングとは、前の単語の最後の音と次の単語の最初の音が「繋がって一つの音のように聞こえる」現象です。特に子音で終わる単語の後に母音で始まる単語が続くときに多く起こります。

子音 + 母音のリンキング

an apple → /æn ˈæpəl/ → 「アン・アポー」ではなく「アナポー」
turn it off → 「ターニダフ」(turn-it-off が1つの流れになる)
pick it up → 「ピキダップ」(pick-it-up が繋がる)
"Can I have a look at it?" → 「キャナイ ハバ ルカティット?」
子音と母音が次々と繋がり、単語の区切りがほぼ消える

同じ子音が続く場合(Gemination)

前の単語の末尾と次の単語の頭が同じ子音のとき、1回だけ発音されることがあります。

"a big game" → 「アビッ_ゲイム」(g が1つに合わさる)
"hot tea" → 「ハッ_ティー」(t が1回だけ)

母音 + 母音のリンキング(渡り音)

母音で終わる単語の後に母音が続くとき、間に /j/ や /w/ のような渡り音が自然に入ることがあります。

"I am" → 「アイ(y)アム」(iとaの間にyが入る)
"go on" → 「ゴウ(w)オン」(oとoの間にwが入る)
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リダクション(Reduction):母音や音節が弱まる現象

リダクションとは、機能語(助動詞・前置詞・代名詞など)の母音が弱化し、もとの発音とは全く異なる音になる現象です。英語は「強弱リズム」の言語で、内容語(名詞・動詞など)は強く、機能語は弱く発音されます。

よく起こるリダクションの例

元の形リダクション後発音イメージ
want towannaワナ
going togonnaガナ
kind ofkindaカインダ
don't knowdunnoダノウ
got togottaガタ
have tohaftaハフタ
out ofouttaアウタ
a lot ofa lottaアロタ
"I'm gonna go. I hafta leave kinda early."
「行くね。ちょっと早く出なきゃいけなくて。」— リダクションが3つ含まれる自然な会話文

これらはくだけた会話での自然な発音であり、フォーマルな場面では元の形(want to, going to など)が使われます。リスニングでは必ず聞こえてきますが、自分が話すときはどちらでも適切な方を選べばOKです。

フラッピング(Flapping):t/dが「ラ行」に聞こえる現象

フラッピングは、アメリカ英語で特に顕著な現象で、/t/ や /d/ が強勢のある母音と弱勢の母音に挟まれたとき、「ラ行」に近い音(/ɾ/)に変化することです。これがネイティブの英語が「早口で聞き取れない」と感じる大きな原因の一つです。

代表的なフラッピングの例

water /ˈwɔːtər/ → 「ウォーター」ではなく「ウォーラー」
better /ˈbetər/ → 「ベター」ではなく「ベラー」
butter /ˈbʌtər/ → 「バター」ではなく「バラー」
city /ˈsɪti/ → 「シティ」ではなく「シリ」
pretty /ˈprɪti/ → 「プリティ」ではなく「プリリ」
"I got a letter from a city in Italy." → 「アイ ガラ レラー フラマ シリ イネタリー」
got a → ガラ / letter → レラー / city → シリ / Italy → イタリー(イタリーはフラッピングなし)

フラッピングが起こる条件

  • 強勢のある母音の後に t または d が来る
  • その t/d の後に弱い母音(または r)が続く
  • 主にアメリカ英語・カナダ英語で起こる(イギリス英語では起こりにくい)

エリジョン(Elision):音が脱落する現象

エリジョンとは、発音の流れの中で特定の音が完全に省略される現象です。隣り合う音の組み合わせによって、本来あるはずの音が消えてしまいます。

よく起こるエリジョンのパターン

next year → 「ネクスト・イヤー」ではなく「ネクシャー」
(t と y が合わさって /tʃ/ → ch音に変化・融合)

did you → 「ディジュー」(d + y → /dʒ/ → j音)
could you → 「クッジュー」(d + y → /dʒ/)
what you → 「ワチュー」(t + y → /tʃ/)
"Did you eat yet?" → 「ディジュー イッチェット?」
did you(ディジュー)と yet(イェット→エット)もリダクション気味に変化

語末の /t/ の脱落

語末の /t/ が子音の前に来るとき、しばしば声にならない「息だけの t」になったり、ほぼ消えたりします。

"I can't believe it." → 「アイ キャン(t) ビリービッ」(最後のtは弱い)
"That's a fact." → 「ダッツァ ファッ(t)」(語末tは軽く止まる感覚)

音のつながりを攻略する練習法

練習法1:音の変化に「名前をつけて」聴く

英語を聴くとき、「今のはリンキングだ」「これはリダクションだ」と現象に名前をつける意識を持つことが重要です。闇雲に聴くより、何が起きているかを意識しながら聴くことで吸収速度が上がります。まず本記事で紹介した4現象を覚え、実際の会話音声の中で探してみましょう。

練習法2:シャドーイングで体に染み込ませる

音の変化は知識として覚えるだけでなく、口を使って実際に再現する練習が最も効果的です。ネイティブ音声を使ったシャドーイングでは、「wanna」「gonna」「flapping」の音を自分の口で出す経験ができます。詳しくはシャドーイング完全ガイドを参照してください。

練習法3:リンキング専用のディクテーション

音声を聴いて文字に書き起こすディクテーションで、「どの音が変化・脱落していたか」を確認します。「ワナ」→「want to」と正しく変換できるかを訓練することで、リスニング中の音の変化への対応力が上がります。

またListenUpのリスニングクイズでは、ネイティブ音声を使った選択問題を通じて、自然な音のつながりを耳で体感できます。難易度別・テーマ別の問題で、自分のペースで取り組めます。

まとめ

「英語が聞き取れない」原因の多くは単語力ではなく、音のつながりの知識不足にあります。本記事でご紹介した4つの現象を理解するだけで、英語のリスニングへの見え方が大きく変わります。

現象定義代表例
リンキング単語間で音が繋がるan apple → アナポー
リダクション機能語の母音が弱化want to → ワナ
フラッピングt/dがラ行に変化water → ウォーラー
エリジョン音が脱落・融合するdid you → ディジュー

音のつながりを理解した上で練習を積めば、「なぜ聞き取れないのか」という原因がわかるようになり、リスニング力は確実に伸びていきます。

※本記事で紹介した音変化の傾向はアメリカ英語を中心とした一般的なパターンです。話者・地域・文脈によって異なる場合があります。