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英語学習コラム

英語多読のやり方|初心者が続けるための本選びと読み方のコツ

「英語力を上げたいけど、単語帳や文法書の勉強が続かない」——そんな悩みを持つ方に試してほしい学習法が英語多読です。多読とは、自分のレベルより少し易しい英語テキストを大量に読む学習法で、楽しみながら語彙・読解力・リスニング力を底上げできるとされています。

この記事では、多読の基本的な考え方から、初心者がつまずきやすい「本選び」「辞書の使い方」「継続のコツ」まで、実践的に解説します。

英語多読とは何か?精読との違い

多読(Extensive Reading)とは、内容の理解に集中しながら大量の英文を読む学習法です。語学習得研究者のStephen Krashenが提唱した「インプット仮説」に基づき、理解可能なインプットを大量に与えることで自然に言語能力が伸びると考えられています。

一方、精読(Intensive Reading)は1つの文章を徹底的に分析する読み方です。文法の確認・単語の精密な意味把握・日本語訳の作成などを行います。

比較項目多読精読
テキストの難易度易しめ(7〜9割わかる)難しめ(学習課題)
辞書の使用原則引かない積極的に使う
読むスピード速く(流し読み)ゆっくり(精緻に)
主な目的大量インプット・語感の獲得構造理解・正確な把握

多読と精読はどちらが優れているということはなく、相互補完的な関係にあります。ただ、日本の英語教育は精読偏重になりがちなため、多読を意識的に取り入れることで語彙・読解・リスニングが総合的に伸びる傾向があります。

多読で得られる3つの効果

効果1:語彙の定着が加速する

多読では同じ単語が文脈を変えて何度も登場します。単語帳での暗記と異なり、生きた文脈の中で繰り返し出会うことで、単語の意味・ニュアンス・使われ方が自然に定着していく傾向があります。語彙研究者のNation(2001)の理論によれば、単語が定着するには複数の文脈での反復接触が重要とされています。

効果2:英語を英語で理解する力がつく

多読を続けると、英文を日本語に変換せずに直接意味をつかむ「英語思考」が育まれます。これはリスニングや会話にも直結する能力です。日本語へいちいち翻訳する癖が薄れると、読むスピードだけでなく聞き取りのスピードも上がると言われています。

効果3:英語学習への抵抗感が下がる

多読の最大のメリットの1つが「楽しく続けられる」という点です。自分の好きなジャンルや興味のある話題の本を選べるため、苦手意識のある学習者でも自然に英語に触れ続けられます。継続こそが語学習得の王道であるとする観点から見ると、この効果は非常に重要です。

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レベル別おすすめ多読素材

多読で最も重要なのが素材選びです。基本的な目安は「知らない単語が1ページに5〜10語以内」のレベルです。それ以上多いと、辞書なしでは内容を追えず、多読の効果が薄れてしまいます。

入門〜初級:Graded Readers(段階別読み物)

入門〜初級

Oxford Bookworms Library / Penguin Readers

使用語彙数が制限されたやさしい英語で書かれた読み物シリーズ。Starter(250語)〜Level 6(2,500語)まで段階が細かく分かれており、自分のレベルに合ったものを選びやすいです。名作のリライト版や独自ストーリーなど種類も豊富です。

中級:English Learner向けオンライン記事

中級

VOA Learning English / BBC Learning English

学習者向けに簡易化された英語でニュースを提供しているサービスです。無料でアクセスでき、音声も付いているため多読とリスニングを同時に行えます。時事トピックに触れながら英語を学べる点も継続のモチベーションになります。

中上級:一般向けペーパーバック・電子書籍

中上級

YA小説(Young Adult Fiction)

10代向けに書かれた小説は、文章が比較的読みやすく内容も引き込まれるものが多いです。「The Hunger Games」「Divergent」「Harry Potter(英語版)」などは世界的に多読素材として人気があります。Kindleなどの電子書籍なら単語を長押しするだけで意味を確認でき、多読のハードルが下がります。

素材選びのポイント

本の最初の1ページを読んでみて、知らない単語が3〜5語以内なら「ちょうどよい」レベルです。それ以上多い場合は一段階やさしいものを選びましょう。

辞書を引かない読み方のコツ

多読最大の特徴であり、初心者がつまずきやすいのが「辞書を引かない」というルールです。知らない単語が出てきても止まらずに読み進めることが求められます。

知らない単語に出会ったときの対処法

  1. 前後の文脈から意味を推測する——周囲の語句・例示・対比などから意味の方向性をつかむ
  2. 重要度を判断する——その単語がなくても話の大筋がわかるなら無視して進む
  3. 単語に軽くマークする——気になる単語には印をつけ、読み終わった後にまとめて確認する(読中に止まらない)
She felt a surge of trepidation as she stepped onto the stage, but managed to deliver her speech with confidence.
「trepidation」がわからなくても、「ステージに上がった→スピーチを自信を持って行った」という流れから「不安・緊張」系の感情だと推測できる。意味を知らなくても話は理解できる。

「8割わかれば進む」マインドセットを持つ

多読で求められる理解度は「完全理解」ではなく「内容の流れを追えている状態」です。8〜9割の内容がわかっていれば十分と考えましょう。完璧に理解しようとする「精読マインド」を持ち込むと、多読のペースと楽しさが失われます。

多読で語彙が増える仕組み

「辞書を引かないのに単語が増えるのか?」と疑問に思う方も多いかもしれません。多読での語彙習得は、文脈を通じた偶発的な学習(Incidental Vocabulary Learning)と呼ばれるプロセスによって起こります。

偶発的語彙学習のメカニズム

知らない単語に繰り返し出会い、毎回文脈から意味を推測することで、次第に「この単語はこういうシーンで使われる」という感覚が脳に蓄積されていきます。これは母語習得に近いプロセスで、単語の意味だけでなくニュアンス・使い方・コロケーション(一緒に使われる語句)まで自然に習得できる点が特徴です。

多読語彙学習を補強する方法

多読だけに頼るのではなく、以下と組み合わせると語彙習得の効率が上がります。

  • 単語帳・フラッシュカード——多読中に何度も目にした単語を優先的に登録する
  • リスニング練習——ListenUpで同じ語彙を耳からも入力し、視覚と聴覚の両方で定着を促す
  • 英語日記——多読で覚えた表現を実際に使ってみることで定着が加速する

継続するための7つのヒント

多読は「続けること」が最も大切です。以下のヒントを参考に、無理のないペースで習慣化しましょう。

1. 毎日の読む量を決めすぎない

最初から「1日30ページ読む」などと決めると、忙しい日に挫折しやすくなります。「1日1ページでもOK」と心理的ハードルを下げることで、習慣が定着しやすくなります。

2. 同じシリーズを一気に読む

シリーズものは登場人物や世界観が共有されているため、2冊目以降は格段に読みやすくなります。Oxford BookswormsやMagic Tree Houseなどのシリーズを最初の1冊から始め、気に入ったらそのシリーズを読み続けるのが効果的です。

3. 読んだ量を記録する

読んだ語数や冊数をノートやアプリで記録すると、成長の実感が得られモチベーション維持に役立ちます。多読のコミュニティでは語数の記録が一般的で、「100万語読破」を目標にする学習者も少なくありません。

4. 楽しくない本はすぐやめる

多読では、楽しめない本を義務感で読み続ける必要はありません。つまらないと感じたら迷わず別の本に切り替えましょう。楽しさと継続性が多読の命です。

5. 電子書籍・オーディオブックを活用する

KindleやGoogle Play Booksなら辞書機能が内蔵されており、どうしても気になる単語だけ瞬時に確認できます。Audibleなどのオーディオブックと組み合わせると、リスニングと多読を同時に進めることができます。

6. 文法クイズで基礎力を並行強化する

多読がスムーズに進まない場合、文法の基礎が不安定なことが原因の一つです。GrammarUpの文法クイズで文法の理解を深めると、多読の理解度も上がります。

7. 仲間と記録を共有する

SNSや英語学習コミュニティで多読の記録を公開すると、継続しやすくなります。多読専用のSNS「多読通信」なども活用するとよいでしょう。

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まとめ

英語多読のポイントをまとめます。

  • 自分のレベルより少し易しい素材を選ぶ(知らない単語が1ページ5語以内が目安)
  • 辞書を引かずに文脈から推測して読み進める
  • 入門はGraded Readers、中級はVOA/BBC Learning English、中上級はYA小説がおすすめ
  • 多読による偶発的語彙学習でニュアンスを含めた語彙力が育つ
  • 「楽しくない本はすぐやめる」「1日1ページでもOK」で継続を最優先にする
  • リスニング練習文法学習と組み合わせることで相乗効果が生まれる

多読は、短期間で劇的に英語が上達する魔法の方法ではありません。しかし、毎日の積み重ねの中で確実に語彙・読解力・英語思考が育っていきます。今日から「自分が楽しめる1冊」を選ぶところから始めてみてください。

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