英語の省略(Ellipsis)を理解する|ネイティブが言葉を省く仕組み

「Can you drive?」「Yes, I can.」——この返答で "drive" が省かれているのに気づいていますか?英語では同じ情報を繰り返すことを避けるため、文脈から明らかな部分は省略されます。これを省略(Ellipsis)と呼びます。日本語でも「食べますか?」「食べます。」と言いますが、英語の省略にはより体系的なルールがあります。この記事では会話・読解の両方に役立つ英語省略の仕組みを解説します。

省略(Ellipsis)とは何か

省略とは、文脈から復元できる要素を言語表現から取り除くことです。省略された部分が参照する表現を先行詞(antecedent)と呼びます。英語は語順が意味を担う言語であるため、省略にも一定のルールがあります。

英語の省略は主に次の3種類に分類されます。

その他にも、接続詞節での主語+be動詞の省略、名詞句の省略なども日常的に見られます。

1. VP省略(VP Ellipsis)

VP省略は英語の会話で最もよく見られる省略です。動詞句(VP)全体が省かれ、助動詞だけが残ります。「can」「will」「have」「did」などの助動詞が残るので、助動詞の後に何もない文を見たら VP省略を疑うのが読解のコツです。

基本的な VP省略の例

A: Have you finished your homework?
B: Yes, I have. [finished my homework が省略]
A: 宿題は終わりましたか?
B: はい、終わりました。
She said she would call, but she didn't. [call が省略]
彼女は電話すると言ったが、しなかった。
Tom can swim, but I can't. [swim が省略]
トムは泳げるが、私は泳げない。
I didn't want to go, but I had to. [go が省略]
行きたくなかったが、行かなければならなかった。
We planned to finish the project by Friday, and we did. [finish the project by Friday が省略]
私たちは金曜日までにプロジェクトを終わらせる計画を立てていたが、本当にそうした。

VP省略と too / either

「〜も」を表す too(肯定文)や either(否定文)と組み合わせた構文でもVP省略が頻出します。

A: I love sushi.
B: I do too. / So do I. [love sushi が省略]
A: 私は寿司が大好きです。
B: 私もです。
A: I don't like horror movies.
B: I don't either. / Neither do I. [like horror movies が省略]
A: 私はホラー映画が好きではありません。
B: 私も好きではありません。

2. so / not 代用

sonot を使って、節全体(命題の内容)を代用する形式です。日本語では「そう」「そうじゃない」に近い感覚に対応します。

think / hope / believe + so / not

A: Is it going to rain today?
B: I think so. / I hope not.
A: 今日は雨が降りますか?
B: そう思います。 / そうでないといいのですが。
A: Was the exam difficult?
B: I'm afraid so.
A: 試験は難しかったですか?
B: 残念ながらそうでした。
A: Will they cancel the concert?
B: I hope not. The tickets were expensive.
A: コンサートは中止になりますか?
B: そうでないといいですね。チケットが高かったですから。

so / not を使える主な動詞は以下の通りです。

動詞so(肯定)の例not(否定)の例
thinkI think so.I don't think so.
hopeI hope so.I hope not.
believeI believe so.I believe not.
expectI expect so.I expect not.
supposeI suppose so.I suppose not.
sayThey say so.They say not.
be afraidI'm afraid so.I'm afraid not.
日本語話者が誤解しやすい点: 「I don't think so.」は「そうは思わない」という否定で最も一般的な表現です。「I think not.」はやや文語的で日常会話では少ない傾向があります。動詞によって not の位置が異なる点に注意しましょう。

3. Gapping(ギャッピング)

Gapping は並列構文(and / or / but でつながれた文)の中で、繰り返される動詞部分を省く省略です。文の中間部分が「抜けている(gap)」ように見えることからこの名があります。

Mary ordered pasta, and John [ordered] a steak.
メアリーはパスタを注文し、ジョンはステーキを(注文した)。
Some people prefer coffee in the morning, and others [prefer] tea.
朝はコーヒーを好む人もいれば、紅茶を(好む)人もいる。
He finished in first place, and she [finished] in second.
彼は1位でゴールし、彼女は2位(でゴール)した。
The director spoke to the investors, and the CEO [spoke] to the press.
ディレクターは投資家に話し、CEOはプレスに(話した)。

Gapping は書き言葉でも会話でも使われます。「and」の後に主語だけあって動詞がないように見える場合、前の節の動詞を補って読むと意味が通ります。特にニュースの見出しや報告書では頻繁に登場します。

接続詞節の省略

接続詞(when / if / while / though / once など)の後の節で、主語+be動詞が省略されることがあります。これを分詞構文的省略と呼ぶこともあります。

When [she was] in college, she studied abroad for a year.
大学在学中、彼女は1年間留学した。
If [it is] possible, please respond by Friday.
可能であれば、金曜日までにご返答ください。
Though [he was] tired, he continued working through the night.
疲れていたが、彼は夜通し働き続けた。
Once [it is] approved, the proposal will move to the next stage.
承認されたら、その提案は次の段階に進みます。
ポイント: 接続詞節の省略は、主節と従属節の主語が一致しているときに可能です。「When tired, he makes mistakes.」は自然ですが、主語が異なる場合には省略できません。

日本語話者が誤解しやすいケース

ケース1:「So do I.」と「So I do.」の違い

A: I love this song.
B: So do I. (私も好き)
B: So I do. (確かに私も好きだ、という強調・確認)
「So do I.」は同意の返答。「So I do.」は「確かにそうだ」という確認・強調で意味が異なります。

ケース2:VP省略後の時制の一致

よくある誤解: 「She said she would come, and she did.」 — ここでの did は「would come」の代わりに使われています。助動詞 would の代わりに did が使われることに慣れていないと誤読しやすい箇所です。
She said she would come, and she did. [come が省略]
彼女は来ると言っていたが、本当に来た。

ケース3:否定の省略「not」の位置

I think not. (やや文語的)
I don't think so. (日常的・自然)
I hope not. (日常的)
I don't hope so. (不自然 — hope not を使うべき)
hope は「I hope not.」が自然で「I don't hope so.」は通常使いません。動詞ごとに確認が必要です。

読解への応用

英文の読解中に省略を正確に処理するためのポイントをまとめます。

The merger was approved by the board, though not by the shareholders.
その合併は取締役会では承認されたが、株主には(承認されなかった)。
→ 「not approved by the shareholders」の省略
Prices have risen steadily, while wages have not. [risen steadily が省略]
物価は着実に上昇してきたが、賃金は(上昇してい)ない。

省略を含む英語をリスニングで体感しよう

省略はリスニングでも頻出します。ネイティブスピーカーは自然に省略を使うため、耳で慣れることが大切です。native-real.comのListenUpで1,000問以上のリスニング問題に挑戦しましょう。

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まとめ:英語の省略の3つの柱

省略は英語コミュニケーションを効率化する仕組みです。読めるようになれば自然な英文のリズムが掴めるようになります。また文法問題としても頻出するので、GrammarUpで練習してみましょう。

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