英語のit・thereの使い方|形式主語と存在構文を完全理解
目次
英語を学ぶ多くの人が「itとthereの使い方が複雑すぎてわからない」と感じます。itには「物を指す代名詞」以外に、形式主語・形式目的語・状況のitなど複数の役割があり、thereにも存在を表す特殊な用法があります。この記事では、それぞれの用法を体系的に整理し、例文を通して確実に使い分けられるようにします。
形式主語のit(It is ... to / that)
英語では文の主語が長くなるとき、本来の主語を文末に回し、その代わりに文頭に置く「仮の主語(形式主語)」としてitを使う構文があります。このitは特定のものを指しているわけではなく、文の構造を整えるための「形式的な主語」です。
It is + 形容詞 + to不定詞
最も基本的なパターンです。「〜することは…だ」という意味を表します。
It is difficult to learn two languages at once.
2つの言語を同時に学ぶことは難しい。
It is important to review what you learned that day.
その日に学んだことを復習することが大切だ。
このitが形式主語であることを確認するには、「It = to以下」という置き換えが成立するかどうかを確認します。「To learn two languages at once is difficult.」と言い換えられるので、これは形式主語のitです。
It is + 形容詞 + that節
that節を後ろに置く場合も同じ構造です。
It is clear that he understands the situation.
彼がその状況を理解していることは明らかだ。
It is surprising that she passed the exam on her first try.
彼女が初回で試験に合格したのは驚きだ。
よく使われる形容詞一覧
形式主語のit構文でよく使われる形容詞には次のようなものがあります。
- important(重要だ)、necessary(必要だ)、essential(不可欠だ)
- difficult(難しい)、easy(簡単だ)、hard(大変だ)
- clear(明らかだ)、obvious(明白だ)、true(本当だ)
- surprising(驚くべきだ)、strange(奇妙だ)、natural(自然だ)
- possible(可能だ)、impossible(不可能だ)、likely(ありそうだ)
天気・時間・距離・状況を表すit
英語では天気・気温・時刻・日付・距離などを表すとき、主語に特定の意味を持たない「状況のit」を使います。日本語では主語を省略できますが、英語では必ず主語が必要なため、このitが使われます。
天気・気温
It is raining heavily outside.
外は激しく雨が降っている。
It was very cold this morning.
今朝はとても寒かった。
時刻・日付・曜日
It is three o'clock in the afternoon.
午後3時です。
It is Monday today.
今日は月曜日です。
距離・明暗
It is about five kilometers to the station.
駅まで約5キロメートルです。
It was getting dark when we arrived.
私たちが到着したときは暗くなりかけていた。
これらのitは「何か特定のものを指している」わけではありません。文法的に主語が必要なため置かれているだけなので、「それは?」と聞かれても答えられません。これを「状況のit」または「非人称のit」と呼びます。
存在構文 There is / There are
「〜がある・いる」を表すときに使うのがThere is / There are構文(存在構文)です。このthereも形式主語と同様に、特定の場所を指しているわけではありません。
単数・複数の使い分け
beの形は、thereの後ろに来る「本当の主語」に合わせます。
There is a coffee shop near my office.
私のオフィスの近くにコーヒーショップが1軒ある。
There are many students in the library.
図書館には多くの学生がいる。
There was an interesting article in today's newspaper.
今日の新聞に興味深い記事があった。
否定文・疑問文
There is no time to waste.
無駄にする時間はない。
Is there anything I can do to help?
私に手伝えることは何かありますか?
There isと場所を示すthereの違い
「there」には場所を示す副詞としての用法もあります。混同しないよう整理しましょう。
| 構文 | 役割 | 例 |
|---|---|---|
| There is / are ... | 存在を表す(形式的there) | There is a park here. |
| ... over there | 場所を示す副詞 | The bank is over there. |
| There you go. | 慣用表現 | 「はい、どうぞ」の意味 |
形式目的語のit(find it difficult to...)
目的語の位置でも、長い句や節を後ろに回してitで代替する形式目的語の構文があります。特に「find / make / think / consider + it + 形容詞 + to不定詞/that節」という形が頻出です。
find it + 形容詞 + to不定詞
I find it difficult to concentrate when there's noise.
騒音があると集中するのが難しいと感じる。
She found it hard to accept the news.
彼女はそのニュースを受け入れるのが難しいと感じた。
make it + 形容詞 + to不定詞
Technology has made it possible to communicate instantly.
テクノロジーは瞬時にコミュニケーションを取ることを可能にした。
think it + 形容詞 + that節
I think it important that everyone participates in the discussion.
私は全員がディスカッションに参加することが重要だと思う。
形式目的語のitも、置き換えによって確認できます。「I find it difficult to concentrate」の「it = to concentrate(when there's noise)」という関係が成立します。
強調構文(It is X that...)との整理
形式主語のitと紛らわしいのが強調構文(cleft sentence)です。同じ「It is ... that」という形をしていますが、役割がまったく異なります。
強調構文の仕組み
強調構文は文のある要素を取り出して特別に強調する構文です。「It is +強調したい語句+ that +残りの文」という形をとります。
It was John that broke the window. (ジョンが窓を割ったのだ)
普通の文:John broke the window. → 「John」を強調
It was yesterday that she called me. (彼女が電話してきたのは昨日だ)
普通の文:She called me yesterday. → 「yesterday」を強調
形式主語 vs 強調構文の見分け方
| 区分 | 構造の特徴 | 確認方法 |
|---|---|---|
| 形式主語のit | It is + 形容詞 + to/that | to以下 / that節がitと置き換わる |
| 強調構文 | It is + 名詞/副詞 + that + 動詞あり | It is...thatを除いた完全な文が作れる |
強調構文は「It is ... that」を取り除いても意味の通る完全な文が残ります。一方、形式主語構文はthat以下だけでは主語がなく文として不完全になります。これが最もシンプルな見分け方です。
It is clear that he lied. → 「he lied」だけでは形容詞の主語がない → 形式主語
彼が嘘をついたのは明らかだ。
It was he that lied. → 「he lied」で完全な文になる → 強調構文
嘘をついたのは彼だ。
練習問題で確認しよう
練習問題:空所に it または there を入れなさい
- _____ is very important to drink enough water every day.
(毎日十分な水を飲むことはとても大切だ) - _____ are three reasons why I chose this school.
(私がこの学校を選んだ理由が3つある) - I found _____ difficult to remember all the vocabulary.
(すべての語彙を覚えることが難しいとわかった) - _____ was raining when I woke up this morning.
(今朝起きたとき、雨が降っていた) - _____ was her dedication that led to success.
(成功に導いたのは彼女の献身だ)
解答: 1. It(形式主語) 2. There(存在構文) 3. it(形式目的語) 4. It(状況のit) 5. It(強調構文)
itとthereは英語の文法の中でも特に出現頻度が高い表現です。それぞれの用法を体系的に押さえることで、長文読解や英作文の精度が一気に上がります。まずは形式主語と存在構文の基本パターンをしっかり定着させることから始めましょう。
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