英語学習法

英語が中級で伸び悩む理由|Zipf's lawと化石化、抜け出す3つの学習法

最終更新: 2026-07-27

「文法もある程度わかるし、簡単な会話もできる。なのに、そこから伸びている実感がない」——B1・B2レベルで英語学習が停滞する、いわゆる「中級の壁」に悩む学習者は少なくありません。ロシア語ネイティブとして英語・スペイン語を習得し、「Veronika's Language Diaries」を運営するVeronikaさんが2025年8月25日に公開した動画「How to go from B1 to C2 in English (what *actually* works)」は、この壁の正体を言語学の知見と自身の経験から解説し、66万回以上再生されています。本記事では、この動画の内容をもとに、中級の壁がなぜ起きるのか、そして抜け出すための具体的な戦略を整理します。

この記事で扱う動画について

取り上げるのは、「Veronika's Language Diaries」を運営するVeronikaさんの動画「How to go from B1 to C2 in English (what *actually* works)」です。Veronikaさんはロシア語ネイティブでありながら英語・スペイン語を習得した経験を持ち、B1・B2で伸びが止まる「中級の壁」がなぜ起きるのかを、言語学の知見と自身の経験から解説しています。

中級の壁の正体はZipf's law

動画で紹介されているのが"Zipf's law"という考え方です。上位100語だけで会話の約50%をカバーし、次の1,000語でさらに15〜20%をカバーできる一方、"to understand almost everything... you need to know 10,000 plus words"(ほぼすべてを理解するには1万語以上が必要)と説明されています。

つまり初級のうちは、頻出語を覚えるだけで理解できる範囲がどんどん広がります。しかし中級以降に覚える単語は、日常会話での出現頻度が低いため、せっかく覚えても実際に使う・出会う機会が少なく定着しにくいのです。動画では、これが「勉強しているのに伸びない」と感じる正体だと説明されています。

「話せてしまう」ことが伸びを止める:化石化

もう一つの原因として挙げられているのが"fossilization"(化石化)です。中級レベルだと簡単な表現でも十分に意思疎通できてしまうため、"I want to go"のような単純な言い方が固定化し、"I've been meaning to go for weeks"のような複雑な表現へ進みにくくなると指摘されています。

つまり「通じてしまう」こと自体が、次のレベルへの学習動機を弱めてしまう、という逆説です。中級から上級へ進むには、通じる表現ではなく、より正確で自然な表現を意識的に選び直す必要があります。

抜け出すための3つの核心戦略

Veronikaさんは動画の中で8つの戦略を紹介していますが、なかでも核となるのが次の3つです。

1. Deliberate practice(意図的な練習)

得意なことを繰り返し練習するのではなく、苦手な文法や"fossilized errors"(固定化した間違い)に的を絞って練習することです。自分が何を間違え続けているかを把握し、そこだけを狙って修正するアプローチが、化石化を崩す鍵になります。

2. Narrow listening/reading(絞り込み学習)

色々な教材や発信者に手を広げるのではなく、一人の発信者や一つのシリーズに絞って聴き込み・読み込みをすることです。同じ話者の同じ語彙・言い回しに繰り返し触れることで、Zipf's lawで説明されるような低頻度語にも自然と出会う回数が増え、定着しやすくなります。

3. 自分に英語で語りかける習慣(セルフトーク)

"practice self-talk... narrate your actions or thoughts internally"(自分の行動や考えを頭の中で英語のまま実況する)ことを日常的に行う方法です。会話相手がいなくても、頭の中で英語を使う機会を意図的に増やせるため、隙間時間でも取り組みやすい戦略です。

そのほか動画では、間隔反復での語彙定着や、書く・話す機会を増やして受動語彙(わかる単語)を能動語彙(使える単語)に変える練習なども挙げられています。

語彙の定着には間隔反復(SRS)を組み合わせる

動画で語られる間隔反復(SRS)は、忘れかけたタイミングで復習することで記憶を定着させる方法です。中級の壁を抜け出すには、意図的な練習・絞り込み学習・セルフトークで「使う機会」を増やすと同時に、語彙そのものを忘れない仕組みも並行させると効率的です。

私が個人で運営しているnative-realのVocabUpは、この間隔反復に近い形の学習ツールです。TOEIC頻出語をスワイプ形式で学び、復習タイミングが自動的にやってくる仕組みで、登録不要・完全無料で使えます。動画で紹介されている「絞り込みリスニング」を実践したい場合はListenUp、"fossilized errors"を狙った意図的な練習にはGrammarUpで苦手な文法だけを繰り返す、といった使い分けもできます。

まとめ

B1・B2で英語学習が伸び悩むのは、意志や努力の問題ではなく、Zipf's lawと化石化という構造的な原因があるためです。ポイントを整理します。

  • 中級以降に覚える単語は出現頻度が低く、定着しにくいのがZipf's lawの構造
  • 「通じてしまう」ことで簡単な表現が固定化するのが化石化
  • 抜け出す核心は、意図的な練習・絞り込みリスニング/リーディング・セルフトークの3つ
  • 語彙そのものの定着には間隔反復(SRS)を並行させると効率的

停滞期そのものへの向き合い方をもっと詳しく知りたい方は、英語学習の停滞期を乗り越える方法|伸び悩み時期の対処法もあわせてご覧ください。

よくある質問

Q1. Zipf's lawとは何ですか?なぜ英語の伸び悩みに関係するのですか?

Zipf's lawは、言語の中で使用頻度が高い単語ほど会話に占める割合が大きいという法則です。上位100語だけで会話の約50%をカバーし、次の1,000語でさらに15〜20%をカバーできます。一方でほぼすべてを理解するには1万語以上が必要とされ、中級以降に覚える単語は出現頻度が低いため実際の会話で出会う機会が少なく、定着しにくいことが伸び悩みの一因になります。

Q2. 「化石化(fossilization)」とは何ですか?どうすれば防げますか?

化石化とは、簡単な表現でも意思疎通できてしまうために、単純な言い方が固定化し、より複雑で自然な表現へ進みにくくなる現象です。防ぐには、得意な表現の反復ではなく、苦手な文法や固定化した間違いに的を絞って練習する「意図的な練習(deliberate practice)」が有効とされています。

Q3. 絞り込みリスニング(narrow listening)とは具体的に何をすればいいですか?

絞り込みリスニング・リーディングとは、色々な発信者・教材に手を広げるのではなく、一人の発信者や一つのシリーズに絞って聴き込み・読み込みをすることです。同じ話者の同じ語彙・言い回しに繰り返し触れることで、中級以降で出会いにくい低頻度語も定着しやすくなります。

Q4. 覚えた単語を「わかる」から「使える」に変えるにはどうすればいいですか?

読んで意味がわかる受動語彙を、自分から使える能動語彙に変えるには、書く・話す機会を増やすことが挙げられています。加えて、自分の行動や考えを頭の中で英語のまま実況する「セルフトーク」を日常的に行うことで、覚えた単語を実際に使う練習になります。間隔反復(SRS)で語彙そのものの定着を並行して固めておくと、アウトプットの練習がスムーズになります。

出典動画: How to go from B1 to C2 in English (what *actually* works)(Veronika's Language Diaries)/Xでも公開中: @ichi_eigoの投稿

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