英語学習法

「話す練習」で英語が伸びない理由|情動フィルター仮説とインプット仮説で解説

最終更新: 2026-07-26

「オンライン英会話で話す練習を積んでいるのに、なかなか話せるようにならない」——そう感じたことはありませんか。この記事では、登録者155万人の英語学習系YouTubeチャンネル「Veronika's Language Diaries」を運営するVeronikaさんが2025年6月30日に公開した動画「This Is the Only Method to Become Fluent in English」(71万回以上再生)をもとに、「なぜ話す練習だけでは伸びにくいのか」を言語学者Stephen Krashenの理論から整理します。ロシア語ネイティブとして英語とスペイン語を独学で身につけた本人が、自身の体験を交えて語る内容です。

同じVeronikaさんが独学でC2レベルに到達した経験談は、姉妹記事の英語の「comprehensible input」学習法|レベルに合う教材の選び方で教材選びの基準を中心に解説しています。本記事は「話す練習」と「情動面」に焦点を当てた内容です。

この動画について

Veronikaさんは文法ドリルも単語帳も使わずに英語を習得したという体験をもとに、Krashenの理論を絡めて言語習得の考え方を語っています。要点は大きく3つあります。

  • comprehensible input(理解できるインプット)を軸にすること
  • 「話す練習」は言語習得の結果であり、出発点ではないこと
  • 情動フィルター仮説を理解し、ストレスや不安を減らすこと

それぞれの内容を順番に見ていきます。

comprehensible input(理解できるインプット)とは

Veronikaさんが軸に据えるのが"comprehensible input"(理解できるインプット)という考え方です。動画では"a method where you immerse yourself in a language that is just slightly above your current level, not too hard, not too easy"(今の自分のレベルよりほんの少し上、難しすぎず簡単すぎない言語に浸る方法)と説明されています。字幕や文脈、映像から意味が推測できる範囲のものを選ぶのがポイントです。

「今のレベルに合った教材をどう選べばいいか」という具体的な基準は、前述のcomprehensible input学習法の記事で詳しく解説しています。

「話す練習」は出発点ではなくゴール

動画で印象的なのが"speaking and writing are the result of acquiring a language, they are not the starting point"(話す・書くことは言語習得の結果であり、出発点ではない)という一言です。Krashenの理論を引きながら、"talking is not practicing"(会話することは練習ではない)とも述べられています。

まだ十分にインプットが足りない段階で無理に複雑な文を話そうとすると、緊張して頭が真っ白になり、かえって逆効果になるというのがその理由です。話す力を急いで鍛えようとする前に、まずは理解できるインプットの量を積み上げる方が近道になる、という考え方です。

情動フィルター仮説―伸び悩みの心理的な原因

インプットを続けているのに手応えがない人向けに紹介されるのが"the affective filter hypothesis"(情動フィルター仮説)です。ストレスや不安、退屈、モチベーション低下といった感情が「フィルター」となり、せっかくのインプットが脳の言語習得の働きに届くのを妨げてしまうという考え方です。

Veronikaさん自身、メキシコに移住した直後は"I was so stressed out, I was extremely anxious, and so for the first 6 months I could not learn Spanish"(ストレスと不安が強すぎて、最初の6ヶ月はスペイン語が全く身につかなかった)と振り返っています。どれだけインプットの量を増やしても、情動フィルターが高いままでは習得が進みにくいということです。

好きな内容で英語に触れると学習効果が上がる理由

情動フィルターを下げるコツとして挙げられるのが、心から好きな内容を教材に選ぶことです。Veronikaさんは2019年、ヴィーガンに関する本を英語で読み漁っていた時期に最も英語が伸びたと語っています。

"the message becomes more important than the language"(言語よりもメッセージ=内容そのものが大事になる)状態になると、学んでいる感覚すら忘れて没入できるとのことです。教材を「英語の勉強のため」ではなく「知りたい内容だから」選ぶという発想の転換が、ストレスの少ないインプットにつながります。

今日から実践できること

この動画の考え方を実践に移すなら、まずは「話す練習」を焦らず、ちょうど良いレベルの理解できるインプットを積み上げるところから始めるのが近道です。native-realのListenUpは、短い音声を聴いて5択で答えるシンプルな形式のリスニング学習ツールで、登録不要・完全無料。情動フィルターを上げずに聞き取り量を積み上げたい方に向いています。

好きなジャンルの読み物でcomprehensible inputを探したい場合は、レベル別に読み進められるReadUpも選択肢になります。文章と音声を同時に確認しながら内容に没入したい場合はSyncReaderも参考になります。いずれも「内容が好きだから続けられる」教材選びの延長として使えるツールです。

ストレスなくインプットを続けているのに伸び悩みを感じる時期については、英語学習の停滞期を乗り越える方法もあわせてご覧ください。

まとめ

Veronikaさんの動画から、「話す練習」と英語習得の関係について整理しました。

  • comprehensible input(理解できるインプット)は今のレベルより少しだけ上を選ぶのが基準
  • 話す・書く力は言語習得の「結果」であり、無理に急ぐ「出発点」ではない
  • 情動フィルター仮説:ストレスや不安が高いと、インプットが習得につながりにくい
  • 好きな内容を教材に選ぶと情動フィルターが下がり、学習効果が上がりやすい

この動画はXでも公開中です。元動画「This Is the Only Method to Become Fluent in English」もあわせてご覧ください。

よくある質問

Q1. comprehensible inputとは何ですか?

自分の今の英語力よりほんの少しだけ上、難しすぎず簡単すぎないレベルの英語に浸ることを指す言葉です。動画では「a method where you immerse yourself in a language that is just slightly above your current level, not too hard, not too easy」と説明されており、字幕や文脈から意味が推測できる範囲の教材を選ぶことがポイントとされています。

Q2. 「話す練習」をしても英語が伸びないのはなぜですか?

動画では「speaking and writing are the result of acquiring a language, they are not the starting point」として、話す・書く力は言語習得の結果であり出発点ではないと説明されています。十分なインプットが蓄積されていない段階で無理に複雑な文を話そうとすると、緊張して頭が真っ白になりやすく、むしろ逆効果になるとされています。

Q3. 情動フィルター仮説とは何ですか?

ストレスや不安、退屈、モチベーションの低下といった感情が「フィルター」となり、せっかくのインプットが言語習得の働きに届くのを妨げてしまうという考え方です。動画では、話者本人がメキシコに移住した直後、強いストレスと不安から最初の6ヶ月はスペイン語が全く身につかなかった体験が紹介されています。

Q4. 情動フィルターを下げるにはどうすればいいですか?

動画で紹介されているのは、心から好きだと思える内容を教材に選ぶ方法です。話者自身は、ヴィーガンに関する本を英語で読み漁っていた時期に最も英語が伸びたと振り返っています。好きな内容に没頭すると言語よりも内容そのものへの関心が上回り、学んでいる感覚を忘れるほど自然にインプットを続けられるとされています。

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