英語学習コラム

英語の singular they 完全ガイド|性別を特定しない代名詞の使い方

最終更新: 2026-05-24

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「Someone left their umbrella」── この their は単数の「誰か 1 人」を指しているのに、なぜ his ではなく their なのか。これが現代英語の標準である singular they(単数の they)です。本記事では、性別不明・性別中立・ノンバイナリーの 3 つの用法、動詞は複数形扱いというルール、ビジネスメールでの自然な使い方、フォーマル度の調整、文化的背景まで、社会人が違和感なく使えるレベルに到達できるよう具体例で整理します。

singular they とは何か:30秒で全体像

singular they とは、「1 人の人物」を they / them / their / theirs / themself(themselves)で受ける用法です。日本人学習者は「they = 複数」と固定的に習いますが、現代英語では単数でも they を使うのが標準になっています。

使われる 3 つの場面

  • 性別不明: Someone called, but they didn't leave a message.(誰かが電話してきたが、伝言を残さなかった)
  • 性別中立にしたい: Every employee should bring their laptop.(全社員ノート PC を持参してください)
  • ノンバイナリー(性自認が男女どちらでもない人): Alex updated their profile.(Alex がプロフィールを更新した)

動詞は『複数形扱い』が基本ルール

主語が単数でも、they に対応する動詞は複数形(are / have / do)を使います。これが singular they 最大の特徴で、唯一の例外は再帰代名詞の themself(後述)です。

  • 正: Someone has left their phone. — has は someone に対応、their は単数 they 由来
  • 正: If a user can't log in, they should contact support. — they should(複数形)

用法1:性別が分からない・特定する必要がない

最も自然で違和感のない singular they の使い方が、「性別を特定する必要がない」場面です。ビジネスメール・社内文書で頻出します。

顧客・ユーザー・応募者など『不特定の 1 人』

  • If a customer has a question, they should contact support.(お客様からの質問は、サポートまで)
  • Each applicant must submit their resume by Friday.(応募者は金曜までに履歴書を提出)
  • Whoever wrote this report did their homework.(このレポートを書いた人はよく調べている)

everyone / anyone / someone / nobody との相性

不定代名詞は文法的には単数ですが、現代英語では they で受けるのが自然です。

  • Everyone needs to confirm their attendance.(全員出席確認をお願いします)
  • If anyone calls while I'm out, please tell them I'll call back.(折り返すと伝えてください)

かつての規範 he/his はもう古い

古い教科書では「If a customer has a question, he should contact support」と書かれていますが、現代では男性に限定する印象を与えるため避けられます。中立を保つには they 一択です。

用法2:性別中立にしたい場面

性別が分かっている場合でも、性別を明示する必要がない文脈ではあえて they を選ぶことがあります。ポリシー文書・採用ガイドライン・社内通達などで効果的です。

ジョブディスクリプション・ポリシー文書

  • The successful candidate will start their role on June 1.(合格者は 6 月 1 日着任)
  • An employee may request flexible hours if they need to care for family.(家族介護が必要な社員はフレックス勤務を申請可能)
  • The manager should review their team's performance quarterly.(管理職は四半期ごとにチーム評価を実施)

he or she / s/he はもう避ける

かつての回避策として「he or she」「s/he」「he/she」がありましたが、冗長で時代遅れな印象を与えるため、現在はほぼ使われません。

  • 古い: Each employee should bring his or her laptop.(冗長)
  • 現代: Each employee should bring their laptop.(自然)

複数形にして回避する選択肢も

singular they に違和感がある場合は、主語を最初から複数にしてしまう方法も有効です。

  • All employees should bring their laptops.(全社員 → 複数)
  • Successful candidates will start their roles on June 1.(合格者複数)

用法3:ノンバイナリーの個人を指す

近年広がっている用法が、性自認が男女どちらでもない(ノンバイナリーの)個人を they で受けるパターンです。グローバル企業・国際チーム・海外取引先とのやり取りでは、相手が they を希望する場面に遭遇する可能性があります。

名前は分かっているが they を希望される場合

  • Alex updated their Slack profile.(Alex がプロフィール更新した)
  • I asked Sam, and they said the report is ready.(Sam は報告書が完成と言った)

本人の希望する代名詞を尊重する

近年、メール署名や Slack プロフィールに 「pronouns: she/her」「pronouns: he/him」「pronouns: they/them」 と明記する人が増えました。相手の希望する代名詞が they なら、それに従うのがビジネス上のマナーです。

分からない時はどうするか

会ったことのない人物に対しては、性別を推測せず初手で they を使うのが安全策です。「Casey wrote a great proposal. They have a clear writing style.」とすれば、相手の性自認に関わらず失礼にあたりません。

日本のビジネス環境での扱い

日本企業内では singular they の頻度はまだ低めですが、グローバル企業・外資・海外クライアントとのやり取りでは標準です。「知らなかった・気付かなかった」では済まされない場面が増えています。

動詞・再帰代名詞のルール

singular they を使うときに迷うのが「動詞は単数か複数か」「再帰代名詞は themself か themselves か」という細部です。

動詞は『複数形』に合わせる(原則)

主語の意味が単数でも、they に対応する動詞は複数形を使います。

  • 正: Someone has left their bag. They are coming back.
  • 誤: ×Someone has left their bag. They is coming back.
  • 正: If a user logs in, they have access to all features.

再帰代名詞は themself / themselves 両方 OK

1 人の人物を指すなら themself(単数形)、慣例的な使い方なら themselves も許容されます。

  • 単数明示: Alex described themself as a designer.
  • 慣例: Everyone should introduce themselves.

themself は比較的新しい形ですが、ノンバイナリーの文脈では公式辞書(Merriam-Webster など)にも採録されており、ビジネスで使っても問題ありません。

所有格 their と所有代名詞 theirs

  • 所有格(名詞の前): Pat brought their laptop.
  • 所有代名詞(単独): This laptop is theirs.

ビジネスメールでの自然な使い方

ビジネス英語で singular they を使う具体例を、場面別に整理します。

顧客対応のテンプレート

  • If a customer reaches out, please ask them to fill in the form.(お客様から連絡があったらフォーム記入をお願いしてください)
  • Each client has their own dedicated account manager.(各クライアントには専属の担当者がつきます)

社内通達・ガイドライン

  • Every team member must complete their security training by Friday.(全員金曜までにセキュリティ研修完了)
  • An employee may take a day off if they feel unwell.(体調不良時は休暇取得可)

採用・人事

  • The hiring manager will contact their chosen candidates by next week.(来週までに採用担当が候補者へ連絡)
  • If a candidate withdraws, please update their status in the system.(候補者辞退時はステータス更新を)

議事録・報告書

  • The presenter took questions, and they answered each one clearly.(発表者は質問に明快に回答した)
  • The reviewer left feedback. They recommended two changes.(査読者がフィードバックで 2 点修正を提案)

日本人がつまずきやすい3つのポイント

1. 動詞を単数形にしてしまう

「they = 1 人なら is / has じゃないの?」と感じるのが日本人学習者の典型的な誤解です。意味は単数でも、動詞は必ず複数形(are / have / do)に合わせます。「If someone calls, they are probably from sales.」が正解で「they is」は不可です。

2. 古い教科書の he/his を引きずる

「A student should bring his textbook」と書いて違和感を持たない人は、現代英語の感覚から少し遅れています。グローバル企業・英語ネイティブの目から見ると男性中心の偏った表現と取られかねません。社内文書を書くときは特に注意してください。

3. 違和感があって避けてしまう

「自分が読んでも変に感じる」「単数で they を書くと文法ミスに見える」と思って singular they を避けると、結果的に he or she を多用して文章が冗長になります。慣れの問題なので、まずは社内英文メール 1 通から意識的に使ってみてください。3〜4 通書くと違和感がなくなります。

フォーマル度の調整:論文・契約書では?

学術論文・契約書などの最もフォーマルな文書でも、現代では singular they が許容されつつあります(APA / Chicago Manual of Style ともに容認)。ただし伝統的な法律文書では he/she の併記やパッシブ・複数形での書き換えが選ばれることもあります。読み手と業界の慣習に合わせて選択してください。

singular they を体に染み込ませる練習プラン

知識として理解しても、咄嗟の会話・メールで自然に出るには反復が必要です。以下のステップで段階的に身につけます。

ステップ1:GrammarUp で代名詞問題を演習

当サイトのGrammarUpには、代名詞の選択問題が多数収録されています。誰を主語にして they で受けるか、動詞は単数か複数か、を意識しながら反復することで、書く・話すときの判断が早くなります。

ステップ2:Speaking Instant で口から出す

Speaking Instantでは、日本語を見て即座に英語に変換する練習ができます。「誰かが傘を忘れた」「お客様が電話してきたら」のような singular they が問われる文を反復することで、会話の中で迷わず使えるようになります。

ステップ3:ReadUp で自然な they を観察

ReadUpでは、ネイティブが書いた自然な英文を読めます。「If a user wants to ..., they should ...」のような singular they が頻出するので、意識しながら読むと感覚が定着します。

ステップ4:オンライン英会話で実戦投入

覚えた singular they は、オンライン英会話で講師に対して使うのが最も定着します。「If someone calls during the meeting, what should I tell them?」のように、性別を特定しない場面で意識的に they を選ぶ練習をすると、2 週間で自然に出るようになります。受け放題プランや 5〜10 分の短時間レッスンに対応したサービスなら、忙しい社会人でも続けやすい仕組みです。

singular they を会話で自然に使えるようにする

singular they は知識として理解しても、会話の中で咄嗟に出るには反復練習が必要です。受け放題プランで毎日 5〜10 分のレッスンを積み重ねると、性別不明の場面で「he or she」と迷うことなく they が口をついて出るようになります。

まずは 7 日間の無料体験で、講師との会話の中で singular they を意識的に使ってみるのがおすすめです。

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